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(前編)日本橋に青空が戻る日~日本橋首都高速地下化工事と再開発、そして新たな働き方が生まれる街に~

東京・日本橋界隈では長年の悲願であった日本橋川とともに、日本橋に青空を戻すプロジェクトがいよいよ本格的に動き出しました。

首都高速道路(以下、首都高)は、都心環状線の日本橋区間約1.8km(トンネル区間は約1.2km)の地下化の工事に本格着手、三井不動産などが行う「日本橋再生計画」や再開発、街づくりと連携し、2035年には高速道路の地下化、2040年には高架撤去を予定、日本橋の新たな雄姿が近隣のビジネスパーソンを楽しませることになります。これから、日本橋やその界隈はどのように変貌していくのかをリポートします。

首都高が地下化したイメージ図(首都高速道路HPから引用)


日本橋青空復活プロジェクト”の狙い

高速道路が覆う現時点での日本橋

首都高のプロジェクトの概要は、神田橋JCT~江戸橋JCTの1.8kmの区間を整備するものです。

狙いは2点あります。第一に、日本橋川上空の首都高は第1回の東京五輪前の1963年に開通され、半世紀以上たっています。現在、首都高全体で補修工事を施し、長寿命化をはかり、当面は安全としていますが、首都高の2012年時点での報告書では、「将来的には、補修費は飛躍的に増大する」との見解を示しています。

しかもこの区間は、1日あたり10万台が走行するという過酷な使用状況で、構造物の更新に迫られているのです。

次のもう一つの理由は、三井不動産などのデベロッパー、地域地権者などが共同で行う再開発や街づくりにより、日本橋界隈は大きく変わろうとしています。

政府は、“世界で一番ビジネスをしやすい環境”を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度「国家戦略特区」を制定、日本橋川周辺は都市再生プロジェクトに位置付けられ、今後超高層ビルが次々と立ち並び、再開発や街づくりと一体となって首都高の地下化事業に取り組むという2点が実現に向けての大きな原動力になりました。

ちなみに、首都高は、「立体道路制度」を活用し、建物の地下にトンネルを整備することで、まちづくりと一体となる地下化事業に取り組み、地域の魅力のさらなる向上に貢献する狙いもあります。

リクルートが発行する「都心に住む by SUUMO」の柿崎隆編集長によると、「これからの都心の注目エリアは東京駅~日本橋周辺、虎ノ門~麻布台、渋谷、品川~高輪ゲートウェイ、西新宿、湾岸エリアの豊洲、芝浦周辺です。いずれも、再開発に力を入れている点が共通しています」と語っています。

大手デベロッパーなどに取材をしますと、これらの拠点がそれぞれエリアの間で競争し合い、より東京は激変するという見方も示している点も注目点です。

そこでこの日本橋首都高地下化事業は、日本橋エリアのブラッシュアップをはかることで大きな意味を持つと言えるのです。

概算事業費は3200億円もの巨大プロジェクト

概算事業費は3200億円もの巨大な予算となる日本橋首都高地下化事業ですが、まず現在の進捗状況を見てみましょう。

日本橋川内での工事に先立ち、呉服橋出入口と江戸橋出入口を撤去することとになり、呉服橋出入口と江戸橋出入口は廃止となりました。そのため、現在、両出入口は閉ざされています。

江戸橋出口廃止を伝える
2024年2月まで都心環状線日本橋区間の呉服橋・江戸橋出入口撤去工事を行う(写真は廃止された江戸橋出口)

この両出入口撤去が最初の工事で、具体的には床版や橋桁、橋脚などの撤去を行います。次に、地上から地盤を掘削し、空いたスペースにトンネルを構築する開削トンネル工事、そして河川内にある橋脚がシールドトンネルを通過させるためには、支障となるため、橋げたや橋脚の受け替え工事も実施、さらに阻害する地下構造物がなくなり、また再開発事業の進捗と合わせてシールドマシンでトンネルを構築、完成した地下ルートに交通を切り替え、高速道路を撤去することで完了します。

こうして日本橋に青空が復活するのは2040年まで待たなければなりませんが、その間、再開発も次々と計画、実現していきます。

青空が戻った日本橋のイメージ図(三井不動産HPより)

続々と展開される日本橋の再開発

次に現時点で計画されている再開発を紹介します。

この図のうち、日本橋に大きな影響を持つ三井不動産の事業は、「日本橋一丁目中地区再開発」、「日本橋一丁目1・2番街区再開発」、「日本橋室町一丁目地区再開発」などが計画され、一部は具体化に向け動き出しています。


たとえば、日本橋一丁目中地区の再開発は、2021年9月に着工され、地上52階、地下5階、高さ284m、延床面積約368,700㎡の超高層ビルとなります。竣工は、2025年12月末を予定。ホテル、オフィス、商業施設、住宅、カンファレンス施設、ビジネス支援施設などで構成し、日本橋の前にあり、実に象徴的な建築物といえます。

ちみなに、2026年にはヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」が日本初進出となりますが、日本橋一丁目中地区再開発のオフィス、商業店舗、サービスアパートメント等の複合施設の39階~47階まで 9 フロアに展開することが決まっています。

また、日本橋の横には、野村證券本店がありますが、これは大正末から昭和の初頭にかけて活躍した建築家・安井武雄による設計。建物は3層構造で、1階部分が石張り、中間部はあずき色のタイル貼り、そして7階部分だけは白いモルタル仕上げになっています。3棟ある野村證券ビルのうち、本社本館と別館は再開発の対象区域になりますが、旧館の外見はそのまま保存され、日本橋川の水辺に親しめる名建築として、新たに生まれ変わります。

日本橋一丁目中地区の再開発のイメージ図(内閣府の国家戦略特区の資料より)
野村證券の右横で超高層ビルの再開発が本格的に行われる


このほか2021年6月には、三菱地所の「常盤橋タワー」が完成、さらに隣地には27年の完成をめざす高さ日本一となる「トーチタワー」(高さ390メートル、63階建て)が立ち上がります。

「常盤橋タワー」は212mのビルで、地上38階・地下5階にオフィスや店舗が入っています。オフィスフロアのうち2フロアを就業者向けの共用空間として整備し、会議や食事の予約ができる就業者専用のアプリを設け、新しい働き方に対応した場を目指しています。

八重洲や日本橋で現在、展開されていることは大手とスタートアップ企業の協業で、相互にシナジー効果を発揮しており、今後、働き方も大きく変容していくことが予想されます。

このほか21年6月には、三菱地所の「常盤橋タワー」が完成、さらに隣地には27年の完成をめざす高さ日本一となる「トーチタワー」(高さ390メートル、63階建て)が立ち上がります。

「常盤橋タワー」は212mのビルで、地上38階・地下5階にオフィスや店舗が入っています。オフィスフロアのうち2フロアを就業者向けの共用空間として整備し、会議や食事の予約ができる就業者専用のアプリを設け、新しい働き方に対応した場を目指しています。

八重洲や日本橋で現在、展開されていることは大手とスタートアップ企業の協業で、相互にシナジー効果を発揮しており、今後、働き方も大きく変容していくことが予想されます。

後編に続く

日本橋IZMについてはこちらの記事をご覧ください ↓


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