(後編)日本橋に青空が戻る日 ~日本橋首都高速地下化工事と再開発、そして新たな働き方が生まれる街に~
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(後編)日本橋に青空が戻る日 ~日本橋首都高速地下化工事と再開発、そして新たな働き方が生まれる街に~

hataraku編集室

前編では、日本橋の首都高地下化事業や再開発の動向をリポートしました。2040年には日本橋に青空が戻るだけではなく、その界隈には超高層ビルが立ち並び、風景も激変し、ある一面では国際的にも有力なビジネス街になることが想定されることについてまとめました。

後編では、日本橋川を中心に水の都、親水都市としての顔や、日本橋の歴史、そしてこれからの日本橋の姿をさまざまな資料をもとに紹介いたします。

20年後の日本橋の未来は伝統と革新が融合し、新たな街へと再生していきます。

水の都、親水都市「日本橋」に

水の都・日本橋誕生へ(三井不動産HPより)

日本橋は、首都高地下化事業や再開発のほか、さらにリラックスできる空間としても注目されます。

これまで、三井不動産は2004 年の「COREDO 日本橋」の開業を皮切りに、「残しながら、蘇らせながら、創っていく」を開発コンセプトとして、官民地域一体となった「日本橋再生計画」を推進し、「産業創造」「界隈創生」「地域共生」「水都再生」の 4 つのキーワードに基づいたハードとソフトの融合した街づくりを通して、賑わいの再生を進めています。

三井不動産は続けて、2019年8月に「日本橋再生計画で目指す街づくりビジョン」、「日本橋再生計画第3ステージの重点構想および街づくりの考え方」を策定し、多くの仲間を巻き込むオープンな街づくりを推進する意向を示しました。

昭和通りを境にWESTエリアとEASTエリアという個性の異なる2つのエリアを合わせた「GREATER日本橋」を舞台に、「豊かな水辺の再生」「新たな産業の創造」「世界とつながる国際イベントの開催」の3つを重点構想として、世界の課題解決につながる街づくりを進めます。

具体的な事業は、日本橋首都高地下化や川辺の再開発が実現すると、川幅含め幅約100m・長さ約1200mに及ぶ広大な親水空間が誕生する予定です。川沿いには、賑わいを創出する商業店舗のほか、広場・オフィス・アコモデーション施設など高度なミクストユースの開発が展開、親水空間にはアートや憩いのスペースが整備され、その空間を活かし、エリアを代表するフェスティバルやカンファレンスの実施も予定されています。

日本橋川沿いの再開発によって生まれる親水空間と歩行者ネットワークは、東京駅周辺と日本橋エリアを一体化し、また、日本橋をハブとする舟運ネットワークは、ウォーターフロントの多彩な拠点を結び、都心ウォーカブルネットワークと舟運ネットワークが重なる水都・日本橋は東京の大動脈を生む街とする構想です。

水運では、羽田、お台場、芝浦、晴海、豊洲、浅草などウォーターフロントの拠点とつながり、観光や生活動線として新たな移動の選択肢を提供します。

一方、長さ約1,200m、川幅含め幅約100m のパークライクな親水空間が日本橋エリアと東京駅周辺エリアをシームレスにつなぐことでウォーカブルネットワークも構築します。

そうなれば、これから日本橋は働きつつも舟運や親水も楽しめ、様々な課題解決を行うイノベーションの街でもあり、さまざまな顔を私たちに映し出していく街へと変わっていくことになるでしょう。
実はかつて江戸の舟運を復活させたいという熱い思いをもって研究していた学者がおりました。日本大学理工学部教授を歴任した三浦裕二です。同氏は存命中に、共著『舟運都市―水辺からの都市再生』により、「都市の再生は舟運にある」と主張し、「日本橋の上の高速道路は撤去してしまえばいい」と語っておりました。

その意味で、同氏が夢見た「都市再生と舟運」が日本橋でようやく実現しようとしているのは感慨深いものがあります。

現在の日本橋川

実はかつて江戸の舟運を復活させたいという熱い思いをもって研究していた学者がおりました。日本大学理工学部教授を歴任した三浦裕二です。同氏は存命中に、共著『舟運都市―水辺からの都市再生』により、「都市の再生は舟運にある」と主張し、「日本橋の上の高速道路は撤去してしまえばいい」と語っておりました。

その意味で、同氏が夢見た「都市再生と舟運」が日本橋でようやく実現しようとしているのは感慨深いものがあります。

なぜ、日本橋の直上に首都高速道路?

ここで日本橋の歴史的経緯をおさらいしましょう。現在の石造2連アーチ橋は1911年4月に完成、銘板の揮毫は江戸幕府最後の将軍、徳川慶喜の直筆のサインによるものです。慶喜は、江戸城明け渡し以降、歴史の表舞台から去りましたが、静岡県などで写真、鉄道、自転車などの趣味を楽しみ、大正時代まで生きています。その後、日本橋は関東大震災、東京大空襲など幾多の苦難に耐え、1999年には国の重要文化財に指定されています。

昭和20年代末ごろの日本橋

幻に終わった日本橋首都高地下化案

実は首都高構想は戦前にも存在しましたが、戦争のためプロジェクトは頓挫。1959年に首都高建設の都市計画が決定し、1964年の東京五輪も正式に決まったことで、羽田空港と都心部のオリンピック施設のアクセス向上のため、延長約31kmを優先的に整備することになりました。

首都高のルートは土地買収が不要な道路と河川が優先的に選ばれ、日本橋川の上を高速道路が走ることは必然でした。

しかし、首都高計画当時、東京都の担当ベースでは、トンネルを掘削し、首都高を地下に通す案や、日本橋川を干上がらせ、日本橋の下に首都高を通す案も浮上しています。五街道の起点となる日本橋の直上に、高速道路を走らせることは、景観的にも問題があると判断した可能性があります。しかし、最終的には治水面や予算的にも合わないなど諸般の事情で見送られ、日本橋首都高地下化構想は幻に終わったことはあまり知られていません。

もしこの構想が仮に実現していれば、今回の日本橋首都高地下化事業は、実行に移されなかったのでしょう。

1964年の東京五輪前に建設中の首都高(日本橋付近)

それでも東京五輪後もしばらく問題はなかったのですが、東京五輪の興奮が収まったころから、日本橋の上に高速道路が走ることに否定的な意見が多く寄せられるようになりました。

1968年に、名橋「日本橋」保存会が設立されています。老舗の百貨店、商店、飲食店、企業などの法人会員、町会、個人会員で構成され、日本橋の保存と管理、PR、地域活性化と江戸文化の継承、川の浄化や水辺を生かしたまちづくりに向けて、多彩な活動を展開しています。

1983年には、「よみがえれ日本橋」を宣言し、「わが日本橋に、かつての如く陽光がふりそそぎ、街に生気と潤いの満ちる日を架橋400年を閲した今、待望するや切である」と明記し、日本橋に青空を取り戻すことをアピールしています。

政治的には、2001年3月に扇千景国土交通大臣(当時)の「日本橋は首都・東京の顔であり、国として取り組むべき課題である」や、「首都高の高架に覆われた日本橋の景観を一新する」などの発言を受け、「東京都心における首都高速道路のあり方委員会」が設立され、日本橋の首都高地下化の機運も高まりましたが、予算的な問題もあり、実現に至る道筋は容易ではなかったのです。

しかし、日本橋を含む3周辺地区が国家戦略特区の都市再生プロジェクトに認定されたことで、日本橋再開発と首都高地下化は一体的に整備するとの意見も高まりました。こうした背景から、2017年7月には石井啓一国土交通大臣(当時)と小池百合子都知事の連名により、「日本橋周辺の首都高速の地下化に向けて取り組む」ことの発表がなされ、正式な事業として動き出しました。

伝統と革新が融合し、業種、業態も多様化へ

水陸の要所としての地歴、職住遊のミクストユース機能、舟運ネットワークと多様な顔を持つ日本橋ですが、オリジナルのビジネスやカルチャーを生み出す場として変容していくことになります。

三井不動産は、日本橋ならではの産業創造を推進するべく「ライフサイエンス」に加え、「宇宙」「モビリティ」「食」を新たな戦略領域とするといいます。街全体をイベント会場化し、ビジネスとエンターテイメントが融合した国際発信力ある大型イベントの開催も検討します。

その一部では具体化しているものもあります。たとえば、「宇宙」ですが、2020年12月9日に新たな宇宙ビジネス拠点「X-NIHONBASHI TOWER」を開設し、街づくりを通じた宇宙関連領域におけるビジネス活性化促進プロジェクト「X-NIHONBASHI(クロス・ニホンバシ)」を日本橋エリアで本格始動しました。

また、「ライフサイエンス」の部門では、幅広いプレイヤーが集えるよう、社団法人LINK-Jを設立し、場と機会を創出し、オープンイノベーションの促進を図っていきます。

さらには、これまでの街づくり活動を通して築いてきた、老舗企業や店舗との強固な信頼関係、様々なクリエイターとのリレーションを生かし、伝統と革新が融合する、魅力的な企画の創出をめざします。

職住遊が一体となった日本橋界隈

日本橋という優れた社会インフラは、街そのものの価値を高める効果があります。これからは、公共だけではなく民間の力も大いに活用することも肝要です。

そこで、日本橋という街には新たなビジネスも集積し、大手やスタートアップが交わることで相乗効果を果たすことが期待される一方、日本橋や日本橋川は首都高撤去後には親水都市へと生まれ変わります。

日本橋は我々が想像した以上に多様な街へと進化します。その進化する日本橋の姿はこれからのビジネスパーソンにとって働き方を変革する実験都市にもなりうるに違いありません。

⇒(前編)

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